はじめに
遺産分割協議と時効
遺産分割請求権と時効消滅
相続財産は遺言がない場合、遺産分割をしない限り相続人の共有状態となっています。
遺産分割はその共有状態を解消する手続きなので、共有状態が続く限り遺産分割請求権も存続し続けます。
したがって、遺産分割請求権が単独で時効消滅することはありません。
相続人が相続財産を時効取得出来るか
相続人のうちの一人が特定の相続財産(たとえば被相続人の住んでいた土地建物)を単独で長期間管理しているケースなどはよくあります。
そこで時効取得の可否が問題となりますが、通常は、相続人が相続財産を時効取得することはありません。
管理をしていた相続人が自分だけが相続人だと思っていたような特別な事情がない限り、他の相続人にも権利があることをわかっているはずだからです。
関連判例 (時効取得の例)
昭和47年09月08日最高裁判決
共同相続人の一人が,単独に相続したものと信じて疑わず,相続開始とともに相続財産を現実に占有し,その管理,使用を専行してその収益を独占し,公租公課も自己の名でその負担において納付してきており,これについて他の相続人がなんら関心をもたず,もとより異議を述べた事実もなかったような場合には,前記相続人はその相続のときから自主占有を取得したものと解するのが相当である。
引用元:判例検索システム
相続回復請求権と時効
時効期間・除斥期間
相続回復の請求権は、自分の相続権を侵害された事実を知った時から5年間
相続開始の時から20年で行使することができなくなります。
関連条文
相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする
注意点
条文だけを読むと相続人の一人が遺産分割をしていない(相続人全員の共有状態の)不動産を排他的に管理していた場合も、相続回復請求権は時効により消滅するようにも見えますが、通常はこの条文は適用されないと考えて問題ありません。
この条文が相続人間で適用されるのは、相続人の資格についての争いがある場合ですので、相続財産を排他的に管理利用している相続人が、自分だけが相続人であると信じるに足りる理由が必要です。
関連判例
昭和53年12月20日最高裁判決
共同相続人の一人甲が、相続財産のうち自己の本来の相続持分を超える部分につき他の共同相続人乙の相続権を否定し、その部分もまた自己の相続持分に属すると称してこれを占有管理し、乙の相続権を侵害しているため、乙が右侵害の排除を求める場合には、民法八八四条の適用があるが、甲においてその部分が乙の持分に属することを知つているとき、又はその部分につき甲に相続による持分があると信ぜられるべき合理的な事由がないときには、同条の適用が排除される。
引用元:判例検索システム


